#23 バングラデシュの子供たち
2年前の夏、僕はアジア最貧国と呼ばれるバングラデシュを旅した。
人口密度が世界一と呼ばれるこの国には、日本の4割ほどの面積に、約1億6千万の人々が生活している。
そして、国民の平均年齢は23歳、町には若者たちがたくさんいる。
そんなバングラデシュの首都ダッカの町を歩いていると、広場でサッカーをやっている若者を見つけた。
年齢は小学生か中学生くらいだった。
彼らと交流したかったので、近づいていくパスを要求し輪の中に入った。
パス回しをしながら好きなサッカー選手の話で盛り上がった。
しばらくすると、今から試合をやるから外で見ててほしいと言われ、近くの段差で座って見ていた。
試合は7人制で15分ハーフ、縦1m×横1,5mほどの小さなゴールにキーパー付いていて、デブッとした男の子が自作のイエローカードとレッドカードを持って審判をしていた。
また、プレイヤーは全員裸足だった。
キックオフし、両チーム互角に戦うが、ゴールが小さいため点数が入らない。
この試合で最も輝いていたのは、12歳のシマント君だった。
彼は最初に声をかけてくれた子で、英語も話せるフレンドリーないい子だった。
シマント君は身長は小さいがレフティーのドリブラーだ。
何度もドリブルで仕掛けていきチャンスを作っていた姿はメッシのようだった。
結局試合は0-0の引き分けだった。
試合後、今度は仲間に入れてくれるということで、僕も混ざって試合をした。
ピッチに入って思ったのが、グランドコンディションは最悪で、ここを裸足でプレーするのは相当すごいと感じた。
シマント君は僕と同じチームで、僕らのコンビネーションは誰にも止められなかった。
子供たちに、もしかしてお前は日本代表かと聞かれるくらいだった。
試合を終え、皆が帰る時間になり全員と握手して別れた。
ホテルまでの帰り道、何人かの子がホテルまで送ってくれてた。
ボール1つでこんなに仲良くなれるんだと、サッカーの素晴らしさを実感する日だった。
何もない広場で、本気でサッカーをする子供たち、その試合の横では全然関係のない大人たちが観戦している。
その光景は日本では、絶対にありえない。
良くしてもらったこの国の子供にまた出会いたいと思ったし、サッカーを通じて何かできる日が来るといいなと思った。
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