#153 バスさえ来れば…
今から1年目、僕は東欧を旅していた。
その時の悲しかった話をしたい。
東欧の旅に特に目的があったわけではなかったが、トルコから始まって、ギリシャ、ブルガリア、ルーマニア、モルトバを経由し、去年の今頃はウクライナからポーランドを目指していた。
その時の旅の最終ゴール地はポーランドのクラクフというところ。
そこにはユダヤ人大量虐殺の悲惨な現場、アウシュヴィッツ強制収用場があって、僕はそこにどうしても行きたかった。
そこを旅のゴールとし、旅を終えようと思っていた。
ウクライナ出発→次の日の朝クラクフ到着→アウシュヴィッツ行く→次の日に飛行機でイギリスへ向かう→日本帰国する
というプランだったので、当然何かアクシデントがあれば日程がずれることも考えられたが、長らく旅をしてきたため、予定通りに行く自信があった。
ウクライナからクラクフまでは国際バスのチケットをオンラインで購入し、指定されたバスステーションでバスが来るのを待った。
駅のオフィスのおばちゃんにチケットを見せて、この駅で間違いないという確認も取ったし、ジュースとお菓子を買い込んで準備は満タンだった。
おまけにマクドナルドで腹ごしらえをした。
しかし予定の時間が過ぎてもバスは来なかった。
オフィスに行くと「あれ、まだいたの?」という顔をしたさっきのおばちゃんがいたので、泣きそうな顔をして来ないことを伝えた。
おばちゃんはウクライナ語、僕は英語で言葉は通じなかったが、様子を察しチケットに書かれた電話番号に電話してくれた。
受話器を置いたおばちゃんは、難しい顔をして腕を交差させ首を振った。
理由はわからなかったが、とりあえず来ないみたいだった。
さらに察しの良いおばちゃんは、「別のバスステーションに行って、チケットを買い直して迎え!」て感じで、バスステーションの名前とそこのバスオフィスの名前とバスの出発時間をメモした紙を渡して僕を見送った。
言われた通り、バスに乗り出発することができたが、当初の予定から大幅に遅れを取った。
最低でも昼に着かなければ、アウシュヴィッツには行けない。
ぶっ飛ばしてくれと思いながら、到着を待った。
時が経って、結局アウシュヴィッツに到着したのは夜の7時。
当然、閉園していたので見学はできなかった。
ここを目指してやってきたが、入口の"close"の看板によって僕の旅は終わった。
「バスさえ来れば…」
そう思って撮った写真が、今日のアイキャッチ画像。
そんな悲しい旅のお話。
いつか必ずリベンジする!
僕の予想、近いうちにできると思う。根拠はないけど。
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